学ばない組織のつくられ方とは?

学ばない組織

日本の就業者は圧倒的に学びの習慣を持たない

読書を含む社外学習を「何も行っていない」人の割合は、世界平均で18.0%だが、日本は52.6%。圧倒的に学び習慣の無さが示されています。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/global-2022.html
また、日本のビジネスパーソンは自主的に学ばないだけではなく、学びを「隠す」習慣も広く存在していて、56.2%の学習者が、自身の学びやその内容を同僚に共有していなかった(パーソル総合研究所「学び合う組織に関する定量調査」 )と言われています。学んでいる管理職ですら、47.8%が学びを同僚に言わない。また、具体的な専門知識や学び方など、自分の学びについての相談も約6割が周囲にしたことがない。こうした周りに見られないようコソコソ勉強する、「学びの秘匿化」もまた、日本の課題といえます。

職場で可視化される学びは2割以下

ただでさえ少ない主体的な学習が職場で秘匿化されることで、職場において可視化される(共有される)学びは、全体で2割以下になってしまいます。いくら一部の従業員が積極的に学んだとしても、それが伝播しないということは、組織マネジメントの観点から見ると大きな問題だと言えます。

日本の職場にとって学ぶことは「裏切り」である

「目の前の仕事以上」の学びの共有が、その職場からの離反的な態度の表明になりかねないというのは、極めて日本独特の現象で、さらに、日本の働き方は業務の相互依存性が高く、職務内容の柔軟性が特徴で、学びを報告すると「暇だと思われてしまい」余計な仕事が降ってきそうという意識もあります。

配置転換を会社主導で行う企業が多い日本では、配属後にその職場の仕事のやり方をキャッチアップする「復習型」の学びの比重が大きく、目の前の業務遂行に必要ないスキルや知識を学ばなくなります。そうした学びを共有することがその職場に対する「裏切り行為」になると感じられ、学びを報告すると「暇だと思われてしまい」、余計な仕事が降ってきそうという意識も見られた。

これらは組織マネジメントとして学び合う組織づくりを考える上では見過ごせない大きな障害になり、組織全体で学び合う文化をつくるためには、コミュニティ・ラーニングのように、個人レベルを超えた組織レベルの取り組みが必要です。

出展:https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/column/202404040001.html

組織の課題、見えていますか?

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日々の業務に追われ、なんとなく感じている組織のモヤモヤ…。

「社員のモチベーションが上がらない」「離職率が高い」「部署間の連携がうまくいかない」といった課題は放置すると組織の停滞を招き、やがて大きな問題に発展してしまう可能性があります。
しかし、どこから手をつけていいか分からない、何が本当の原因なのか分からない、と悩んでいないでしょうか?

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見えない問題が問題です!

組織課題の見える化

見えている組織の問題(コンテント)とは?
「目に見えているもの」で、組織の抱える問題、課題、仕事等の内容的な側面です。

見えていない組織の問題(プロセス)とは?
「目に見えていないもの」で、職場やチーム内で起きているメンバーの関係性的な側面で、普段改めて目にしないものです。

問題の原因は表面的に見えているものだけではなく「見えていないもの」こそ、その組織の課題として向き合わないといけないものが多いです。

・残業が増えている人がいる
・業務の偏りがある
・特定の業務が偏る

という顕在化した問題(見えている問題)があったとしましょう。

そこには、見えていない問題点があることが多いのです。
・仕事が他の人に依頼できない
・そもそも社員どうしの関係性が希薄になっている
・相談しにくい雰囲気がある
・そもそも部署のメンバーのことをよく知らない
・暗黙の決まりごとある
・新しく入ったメンバーが他の社員に声をかけづらい等

組織の真の問題を見えるようにする
組織の見えていない問題点を知る手掛かりとして以下の項目について、皆さんの組織ではどうか検証してみて下さい。

1.コミュニケーションについて
自担当及び部署内のコミュニケーションの取りやすさについて

2.意思決定のされ方について
自担当及び部署内の共通業務の決め方の納得度について

3.目標の共有について
自担当及び部署内の目標共有度について

4.役割分担について
自担当及び部署全体役割分担の公平性について

5.手順や進め方について
自担当及び部署全体の共通業務の手順や進め方の共有について

6.リーダーシップについて
自担当及び部署全体の協力姿勢を作るためのリーダーシップ発揮について

7.暗黙の決まり事について
自担当及び部署全体の暗黙の決まりの有無について

8.雰囲気や風土について
自担当及び部署全体の話しやすい雰囲気について

9.お互いの関係性について
自担当及び部署全体の協力的な関係性について

10.メンバーの人となりについて
自担当及び部署全体の人となりを知っているかについて

11.ダイバーシティ&インクルージョンについて
自担当及び部署全体の多様な価値観を認める風土について

組織の見えない問題点を見えるようにする質問はコチラ

残念な組織にならないために!

集団浅慮

組織とは?

組織は人の集まり、つまり「集団」です。私たちは日々、会社や組織、あるいは学校や友人グループなどの集団の中で生活しています。集団だから力を合わせて協力することで、大きな成果を生み出せ、また困った時は集団の仲間から助けてもらうこともできます。しかし、集団には短所もあり、職場では「みんなで一緒に働く」からこそ、うまくいかないこともあります。

うまくいかない集団の心理とは?

集団浅慮
集団内での同調追求で、集団が満場一致の状態になろうとすること。集団全体が一枚岩になって一つの方向へ進むことは、プロジェクト等を進める際には必要なことですが、時に集団は間違った意思決定を行ってしまうことがあります。
同調圧力
集団の意見や行動に合わせようとする心理です。会議で異論があっても、多数派の意見に流されてしまい、誰も反対意見を述べない。結果として、より良い選択肢が検討されないまま決定が下されることがあります。
集団極性化
もともとやや賛成の立場であった場合、集団で議論することで賛成の度合いがさらに強まります。逆にもともとやや反対の立場であった場合は、反対の度合いがより強まります。
集団思考
コンセンサスを重視するあまり、批判的思考や現実的な評価が阻害される現象です。過去の成功体験に固執し、新しい情報や外部の意見を排除して、誤った戦略を進めてしまう。意思決定の過程で反対意見を述べることをためらう雰囲気が醸成されることがあります。
認知バイアス
確証バイアス(自分の仮説を支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視する傾向)がチーム内で共有されると、誤った方向に進んでいるにもかかわらず、誰もそれに気づかず修正できなくなります。

うまくいかない集団心理が発生してしまう要素

・異論を許容しない負の凝集性がある
・閉鎖的なリーダーが存在する
・高いストレス状態(時間的な切迫等)にある

集団心理を避け組織を健全に機能させるためには


前提として
集団浅慮等、集団における個人の思考、感情、意志などが集団の全体として影響し合う心理現象は起こりうることを理解しておく必要があります。
多様な意見の尊重
組織内において、異なる視点や批判的な意見を歓迎し、自由に表明できる文化を醸成することが大切です。
心理的安全性の確保
組織メンバーが安心して意見を述べられるような、心理的に安全な環境を作ることが大切です。
客観的な情報に基づく意思決定
感情やプレッシャーに左右されず、客観的なデータや事実に基づいて意思決定を行うことが重要です。
リーダーシップの役割
リーダーは、積極的に反対意見を求め、議論を促進する役割を果たすことが大切です。

様々な集団心理を助長するような組織文化を見直し、より健全な意思決定プロセスを構築することが組織にとって非常に重要です。

組織を機能させるためのリーダーに必要な動画学習はコチラ

会社としてPOSを高めていますか?

POS

OS:知覚された組織的支援

Perceived Organizational Support (POS:知覚された組織的支援)とは、従業員が「組織は自分の貢献を評価し、自分の幸福(Well-being)を気にかけてくれている」とどの程度感じているかという主観的な認識のことです。

このPOSを高めることは、単なる福利厚生の充実ではなく、従業員との「心理的な信頼関係」を築き、離職を防ぐと共に、エンゲージメントを高めることにつながります。

1. POSの重要性:なぜエンゲージメントに直結するのか
POSの根底には、社会心理学における「返報性の原理(Reciprocity)」があります。
従業員は、組織から大切にされていると感じると(POSが高い状態)、その恩に報いるために「組織の目標達成に貢献しよう」という義務感と意欲を持ちます。

これにより、情緒的コミットメント(組織への愛着)が高まり、結果としてパフォーマンスの向上、離職意図の低下に直結します。逆にPOSが低いと、社員は組織を「単なる取引相手」と見なし、より良い条件があれば離職することを考えます。

2. POSを高め、離職を防ぐ具体的アプローチ
POSを高めるためには、「支援が存在すること」だけでなく、その支援が「組織の自発的な意志で行われている(義務や外圧ではない)」と従業員に伝わることが重要です。

評価等の公平性
結果(給与額など)だけでなく、決定プロセス(なぜその評価になったか)の透明性の担保等フィードバックの質を高めること等、「組織は自分を公平に扱っている」という感覚がPOSの基礎となります。

上司によるサポートの強化(組織の代理人)
従業員にとって、直属の上司は「組織の代表」です。上司からの支援は、そのまま組織からの支援として知覚されます。

業務上のアドバイスだけでなく、キャリア相談やワークライフバランスへの配慮を行うこと。「あなたの成長と生活を気にかけます」というメッセージを1on1などで伝達し続けることも大切です。

POSを高めることと、社員のエンゲージメント

社員のエンゲージメントを高め離職を防ぐには、物理的な報酬以上に「組織は私の味方である」という確信(POS)を持たせることが不可欠です。 「公正なプロセス」「上司のケア」「社員の成長への投資」等を通じて、組織からの好意(Goodwill)を可視化し続けることが、最強のリテンション策となります。

成果(結果)ばかり追い求めて自滅しないための方法

成功循環モデル

成功循環モデルとは?

マサチューセッツ工科大学のダニエル・キム教授が提唱した「成功循環モデル」は、組織が持続的に成果を上げ、成長し続けるためのメカニズムを説いた理論です。

組織開発においてこのモデルが重要視される理由は、多くの組織が陥りがちな「成果(結果)ばかりを追い求めて自滅する」という負のサイクルを打破し、「関係の質」から始まる正のサイクルを構築できる点にあります。

1. 成功循環モデルの4つの要素

成功循環モデルは、以下の4つの質が循環することで組織が動くと考えます。

1.関係の質:互いに尊重し、助け合い、オープンに話せる状態。
2.思考の質:新しいアイデアが生まれ、当事者意識を持って考える状態。
3.行動の質:自発的にチャレンジし、試行錯誤を繰り返す状態。
4.結果の質:高いパフォーマンスや成果が出る状態。

多くの企業は「4. 結果」を真っ先に求めますが、それによってプレッシャーが強まると、「1. 関係」が悪化し、言われたことしかやらない(思考・行動の停止)という「バッドサイクル」に陥ります。

事例:ある製造業での組織改革

ある企業の製造ラインでは、歩留まり(良品率)の低下という課題に対し、当初は数値目標の徹底管理を行いました。

バッドサイクルの発生: 数値で詰められた現場は、ミスを隠し、他部署の責任にするようになります(関係の質の低下)。その結果、問題の本質を考えなくなり(思考の質の低下)、言われた作業をこなすだけになり(行動の質の低下)、さらなる品質悪化(結果の質の低下)を招きました。

グッドサイクルへの転換: そこで、リーダーは数値管理を一旦脇に置き、現場の対話を重視しました。「困っていることはないか?」という問いかけから始め、心理的安全性を高めました(関係の質)。 すると、現場から「実はこの工程に無理がある」と自発的な提案が出るようになり(思考の質)、改善活動が活発化(行動の質)。最終的に歩留まりが劇的に改善(結果の質)し、チームの信頼はさらに深まりました。

組織開発における重要性

・成功循環モデルは「急がば回れ」の原則を論理的に示しています。
・一時的な数値達成ではなく、持続的かつ自律的に改善し続ける組織文化を作ります。
・変化への対応力:関係の質が高い組織は、未知のトラブルや市場の変化に対しても、柔軟に知恵を出し合って対処できます。
・エンゲージメントの向上:社員が当事者意識(思考の質)を持つことで、仕事へのやりがいが向上し、離職防止にもつながります。

組織開発の第一歩として、まずはチーム内での「対話の量と質」を見直すことから始めてみることが大切です。

2026-07-07

ラグビーから学ぶ組織論③

組織論

ラグビーにおけるルールやチーム戦術は選手間の共通言語となり、円滑なコミュニケーションを可能にします。企業におけMVVもまた、社員間の共通言語として機能すべきであり、MVVが浸透していれば、個々の社員が自律的な判断を下す際にも、組織全体としての方向性から逸脱することなく一貫した行動を取ることができます。

ラグビーの試合後には、必ず振り返りが行われ、成功したプレーも失敗したプレーもその要因を分析し、次の試合に活かすための議論が交わされます。これは企業における業務改善活動やナレッジマネジメントに相当し、社員一人ひとりが自らの業務を振り返り、チーム内でフィードバックを共有する文化を醸成することで、組織全体の学習速度は飛躍的に向上します。失敗から学び、成功体験を再現可能なものにするプロセスは、学習する組織に不可欠な要素です。

ラグビーでは果敢なチャレンジの末の失敗は、時には称賛され、萎縮せず思い切ったプレーに挑戦する姿勢が評価される文化があります。企業においても失敗を厳しく糾弾するのではなく、「チャレンジした結果の失敗」を許容する文化を醸成することが重要です。失敗から学ぶ機会を奪ってしまえば、社員はリスクを冒すことを恐れ、創造性や自律的な判断力は失われてしまいます。

ピーター・センゲが提唱した「学習する組織」の五つの要素をラグビーに重ね合わせることで、その本質をより深く理解することができます。

自己マスタリー
選手一人ひとりが自身のスキル、体力、そして戦術理解度を継続的に高めていく姿勢をさします。これは企業における社員が自己の専門性を高め、生涯にわたって学び続けることと一致します。個人の強固な土台なくして組織全体の強靭な力は生まれません。

メンタルモデルの共有と探求
チーム全員が試合の状況や戦術に対する共通の理解を持つこと。ラグビーでは監督の指示がなくても、選手たちは次に取るべき行動を予期し、互いの動きを信頼してプレーできます。企業においては、組織のミッションやビジョンを共通のメンタルモデルとして共有することで、各々が自律的な意思決定を迅速に行うことが可能となります。部門間の壁を取り払い、共通の理解を深める探求が組織にイノベーションをもたらします。

チーム学習
単なる個人のスキルアップではなく、チーム全体として知識や経験を共有し、相乗効果を生み出すプロセスです。試合後の分析や日々の練習における対話は、チームの集合知を高めるための不可欠な活動であり、これは部門横断的な議論やナレッジマネジメントを通じて、組織の壁を越えた学習を促進することに他なりません。チームとして学習する習慣が組織の学習速度を飛躍的に向上させます。

システム思考
グラウンド全体を一つの複雑なシステムとして捉え、自らの行動がチーム全体にどのような影響を与えるかを理解する能力です。パスを出すタイミングやタックルに入る位置一つが、試合の流れ全体を左右します。企業においても、自分の業務がサプライチェーン全体に与える影響を理解することで、部分最適に陥ることなく、全体最適の視点で行動できるようになります。

変化への適応性
規律と自律が融合することで生まれる、予期せぬ状況への対応力です。相手の奇襲攻撃や味方選手の負傷など、計画外の事態が発生した際にもチームは崩壊することなく、新しい状況に適応した最適な戦術を瞬時に再構築する。これは変化の激しい現代市場において、企業が生き残るための最も重要な能力です。

ラグビーは厳格な規律の下で選手一人ひとりの自律性を最大限に引き出し、刻々と変化する状況に対応する「学習する組織」の縮図であるといえます。企業経営においても就業規則や倫理規範といった「規律」を徹底し共通の土台を築き、その上でMVVを共通言語として浸透させ、社員一人ひとりの自律的な判断を促すこと。そして、フィードバックと内省の文化を根付かせ、失敗を恐れずに挑戦できる環境を整えることが重要です。

これらの取り組みを通じて企業は社員のエンゲージメントを高め、市場の変動にも柔軟に対応できる強靭な組織へと進化することができます。ラグビーチームが強固な規律と高い自律性を両立させ、勝利に向かって一丸となるように、企業もまた規律と自律の好循環を生み出すことで、持続的な成長を実現できると言えます。

2026-07-07

ラグビーから学ぶ組織論②

組織論

厳格な規律を遵守する一方で、ラグビーは高度な「自律」が求められるスポーツでもあります。試合中は監督からの指示は届かず、選手はグラウンド上で瞬時に状況を判断し、最善の選択を自ら下さなければなりません。

ラグビーでは相手の防御ラインの崩れ、味方選手の走り込みなど、刻々と変化する状況を読み解き、パス、キック、ランなど多様な選択肢の中から最適なプレーを選択する必要があります。これは企業における市場の変化、顧客ニーズの多様化、競合の動向などに対応する臨機応変な対応力に他なりません。マニュアル通りに動くだけでは変化の波に取り残されてしまい、社員一人ひとりが市場の状況を自ら分析し、顧客にとって最善の提案を自律的に判断する力が求められると言えます。

ラグビーにおいて選手が自律的な判断を下せるのは、チームメイトへの深い信頼があるからです。パスを出せば確実に受け取ってくれる、タックルに入ればフォローしてくれるという信頼関係がなければ、思い切ったプレーはできません。企業においても上司が部下を信頼し、権限を委譲することで、社員の自律性が育まれます。マイクロマネジメントは社員の成長を阻害し、創造的なアイデアを摘み取ってしまいます。

ラグビーの強さは規律と自律が対立するものではなく、相互に補完し合う関係にあると言えます。強固な規律があるからこそ、選手は安心して自律的な判断を下すことができ、その自律的な判断の積み重ねが組織全体の学習と進化を促します。

※次回に続きます。

2026-07-07

ラグビーから学ぶ組織論①

組織論

規律と自律が織りなす学習する組織

はじめに
現代の企業経営において変化の激しい市場環境に適応し、持続的な成長を実現するためには、組織全体が学習し進化し続ける「学習する組織」を構築することが不可欠です。この学習する組織の要諦は、相反するように見える「規律」と「自律」の両立にあると言えます。本稿ではこの二律背反を高いレベルで達成しているラグビーにそのヒントを求めます。

ラグビーは厳格なルールと規律を遵守しながらも、刻一刻と変化する試合状況の中で選手一人ひとりが自律的に判断し、最適なプレーを選択することが求められます。このラグビーの特性を分析することで、企業経営における学習する組織の構築に資する具体的な示唆を得ることが出来ます。

ラグビーにおける「規律」と企業経営

ラグビーにはパスは前に投げられない、タックルは肩からなど厳格なルールが存在します。これらのルールは選手の安全を確保し、フェアな試合運営を行う上で不可欠な「規律」であり、企業経営においてもこの「規律」の重要性は同様であると言えます。

組織の土台としての規律

企業における規律とは就業規則、倫理規範、そして企業のミッション・ビジョン・バリュー(MVV)などが挙げられます。これらは組織が健全に活動するための共通の基盤であり、社員が迷ったときに立ち返るべき羅針盤となります。ラグビーにおいてペナルティは相手に有利な状況を与えてしまい、企業においてもこの規律を無視した行動は、コンプライアンス違反や顧客からの信用失墜など、組織全体に致命的なダメージをもたらします。

規律の浸透と共有

ラグビー選手は反復練習を通じてルールを体得し、無意識のうちに規律を遵守するようになります。企業においても規律を単なる「守るべきもの」ではなく、組織目的を達成するための「当たり前の行動様式」として浸透させることが重要であり、経営陣が率先垂範し、教育・研修を通じて全社員MVVや行動指針を共有する努力が不可欠であると言えます。

※次回に続きます。

2026-07-07

なぜ「境界」を超える必要があるのか?

バウンダリースパナーとは何か?

現代のビジネス環境では、一つの部門や組織だけで完結できる仕事が減っています。そんな中、バウンダリースパナーとは「境界をまたぐ人」であり、組織の内部と外部、あるいは異なる部署間の境界(バウンダリー)を自由に行き来し、情報や知識を橋渡しする人材を指します。

バウンダリースパナーの役割
・情報のフィルタリングと伝達: 外部の新しい技術や市場動向を拾い上げ、組織が理解できる言葉に翻訳して内部に伝えます。
・ネットワークの構築: 異なる文化や利害を持つ組織同士をつなぎ、信頼関係を築きます。
・組織の変革: 外部の視点を持ち込むことで、硬直化した組織文化に揺らぎを与えます。

越境が必要とされる背景

情報の専門化(サイロ化): 組織が大きくなるほど、各部門が独自の「言語」や「論理」で動くようになり、他部署との意思疎通が困難になります。
オープンイノベーションの加速: 自社技術だけでなく、外部の知見を組み合わせて新しい価値を生む必要性が高まっています。
環境の変化の速さ: 組織内に閉じこもっていると、市場の細かな変化に気づけなくなる「組織の硬直化」が起こります。

バウンダリースパナーは、単なる「連絡係」ではありません。異なる価値観を翻訳し、結びつけることで、組織に「新しい視点」と「柔軟な適応力」をもたらす触媒のような存在です。

組織内で、こうした「越境」を得意とするキーマンを特定したり、育成したりすることも考えてみて下さい。

■越境を体験し、越境人材を育てる「価値創造リーダーシップ体験ゲーム研修」
研修ゴール:価値創造に必要な要素や特徴を探求し、価値創造を生み出す思考と行動ができるようになる
対象者:若手から中堅社員、マネージャ層、イノベーションを求められる組織
時間:半日研修

■カリキュラム

項目 学習内容
イントロダクション 研修のグラウンドルール、自己紹介と課題の共有
価値創造リーダーシップ体験ゲーム ゲームの流れと勝利条件、目ざす2つのゴール、グループ対話:Willの共有4ターンゲーム実施
リフレクション(振り返り) 体験ゲームの振り返り、体験ゲームでのWillの実現、個人ワーク:あなたのWillとは?
個人アクションの作成 価値創造が生まれる組織文化に向けて統合期に陥りやすいマインドセット・行動ニュータイプの時代
まとめ まとめと気づき・学びの整理


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なぜ「心理的安全性」だけでは組織は変わらないのか?

「心理的安全性」ブームの落とし穴

近年、「心理的安全性」という言葉はすっかり経営・人事の現場に浸透しました。Googleの「プロジェクト・アリストテレス」が提唱したこの概念は、「チームのパフォーマンスを高める最大の要因は心理的安全性である」と結論づけ、多くの企業がその導入に取り組んできました。しかし現場では、こんな声が増えています。「研修でワークをやった。でも、翌月には元通りだった。」なぜ、心理的安全性を「高めようとしても」組織は変わらないのでしょうか?

心理的安全性は「環境」であり「目的」ではない

最大の誤解は、心理的安全性を「目指すべきゴール」として扱ってしまうことです。エイミー・エドモンドソン教授が提唱した心理的安全性の本来の意味は「チャレンジングな仕事をするために、対人リスクをとれる状態」です。つまり、それ自体は手段であり、目的ではありません。

心理的安全性が高まった組織は・・・

① 率直にフィードバックを言い合える
② 失敗を隠さず共有できる
③ 新しいアイデアを出しやすいという状態になります。


しかしこれらは「何かを成し遂げるための土台」であり、土台だけ整えても建物は建ちません。心理的安全性 × 高い基準(ハイスタンダード)の掛け合わせがあって、はじめて「学習する組織」が機能し始めます。

「ぬるま湯組織」に陥らないための3つの視点

心理的安全性だけを高めようとすると、組織は「居心地はいいが成果が出ない」ぬるま湯状態に陥るリスクがあります。これを防ぐために、以下の3つの視点が必要です。

① 「挑戦の文化」を同時につくる
心理的安全性と並行して、「このチームはチャレンジを求められる場だ」という共通認識を醸成することが重要です。マネジャーが率先してリスクをとり、失敗を語る姿勢が文化を形成します。安全な場だからこそ、高い目標に挑める。この順序が大切です。
② フィードバックを「習慣化」する
「言いやすい雰囲気」があっても、フィードバックを交わす習慣がなければ機能しません。週次の振り返り、1on1の定例化、プロジェクト後のレトロスペクティブなど、フィードバックを「仕組み」に落とし込むことが、心理的安全性を組織に根付かせる鍵です。
③ リーダー自身が「脆弱性」を見せる
心理的安全性は、リーダーの行動によってのみ育まれます。「自分も失敗した」「わからないことがある」と率直に語れるリーダーの存在が、メンバーの行動を変えます。トップダウンの指示命令型から、「問いを立てるリーダー」へのシフトが求められています。

組織変革は「空気」ではなく「行動の積み重ね」から

心理的安全性という概念は正しい。しかし、それは「ムードを良くすること」ではありません。リーダーが行動を変え、仕組みをつくり、文化として積み重ねていくプロセスそのものが組織変革です。
「うちの会社は風通しが悪い」と感じたとき、まず問い直してほしいのは「リーダー自身が、最後に率直なフィードバックを受けたのはいつか?」ということです。
組織の空気は、リーダーの行動から生まれます。
人を活かし、組織を強くするための具体的なステップを共に考えましょう。

2026-07-07

なぜ30人の壁で組織が崩れるのかーカオスの乗り越え方

組織開発

組織には「成長の臨界点」がある

会社が成長するとき、その道のりは決してなめらかではありません。社員数が増えるにつれ、組織は必ず「壁」に直面します。よく知られているのが「10人の壁」「30人の壁」「100人の壁」と呼ばれる、成長ステージごとの構造的な転換点です。なかでも、多くの経営者が「予想以上に苦しかった」と振り返るのが「30人の壁」です。なぜ、この数字で組織は揺らぐのでしょうか。

10人まではうまくいく理由

創業期、社員が10人以下の組織では、意思決定はシンプルです。全員が同じ空間にいて、経営者の言葉がそのまま全員に届き「なんとなく共有されている空気」だけで組織が動きます。ルールがなくても、ビジョンの説明がなくても、採用基準が曖昧でも、それほど大きな問題にはなりません。なぜなら、創業者の目が全員に届いているからです。この段階では、創業者の熱量と人格が組織そのものであり、文化やルールの代替として機能しています。

30人になると「目が届かなくなる」

問題が生まれるのは、組織が30人規模に達したときです。この段階で何が起きるかというと、「創業者の目が全員に届かなくなる」という単純な事実です。社員が増えると、創業者が直接コミュニケーションを取れる人数には限界が生まれます。人間が安定的に関係性を管理できる人数には上限があると言われており(これを「ダンバー数」といいます)、150人が認知的な限界とされていますが、実際には30人前後でも直接的な管理の質は大きく変化し始めます。

具体的には、こういった現象が起きます。

「あの人、最近どうも覇気がない」と気づけなくなる
「社長はこうしたいはずだ」という"忖度"による判断が増える
部門間の連携が取れなくなり、「自分たちのチームだけ」で完結しようとする
非公式のルールや「あの人に聞けばわかる」という属人的な仕組みが崩壊する


この状態を放置すると、組織は「カオス期」に入ります。

カオス期の3つの症状

30人の壁を越えた組織でよく見られる症状は、大きく3つに分類できます。

① コミュニケーションの断絶
情報が上から下へ、横から横へ、正確に伝わらなくなります。「聞いていなかった」「そんなこと知らなかった」が頻発し、やがて各自が「自分に都合のいい情報だけ」を取りに行くようになります。この段階で、組織内に「情報格差」が生まれます。
② 権限と責任の曖昧化
誰が何を決めていいのかが不明確になります。「あの案件、誰の判断なの?」が増え、決定の速度が著しく低下します。一方で、属人的な権限を持つ「影響力のある古株社員」が非公式に組織を動かし始め、経営者の意思決定と現場の実態が乖離していきます。
③ 文化の希薄化
初期メンバーが暗黙知として持っていた「うちの会社らしさ」が、新しく入った社員に伝わらなくなります。言語化されていない価値観や行動指針は、組織が大きくなるにつれ、急速に消えていきます。

壁を乗り越えるための3つの設計

では、30人の壁をどう乗り越えればいいのでしょうか。大切なのは、「カオスが起きてから対処する」のではなく、「壁に差しかかる前から設計する」という姿勢です。

① 「仕組み」への移行 ─ マネジメントレイヤーの設計
創業者一人で全員を見ることをやめ、マネジメントの役割を委譲する時期です。ここで重要なのは、単に「管理職」というポストを作ることではありません。「誰が、何について、どこまで決める権限を持つか」を明確に定義することです。権限委譲が不明確なままでは、管理職は「中間管理職」として板挟みになるだけです。
② 「文化」の言語化 ─ MVVの実装
この段階で、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)を単なるスローガンではなく、「行動の判断基準」として機能させることが求められます。「うちの会社では何を大切にするか」を明文化し、採用・評価・表彰など、あらゆる人事の場面にMVVを組み込む。この作業を怠ると、組織が大きくなるほど「文化の空洞化」が進みます。
③ 「対話」の仕組み化 ─ 1on1と情報共有の設計
創業者が全員と話せなくなる分、「誰が、誰と、何を話す場を持つか」を仕組みとして設計することが必要です。1on1ミーティングの定期開催、全体への情報共有の場の確保、部門横断のコミュニケーション機会の創出などが、この段階では欠かせません。

「壁」は失敗ではなく、成長の証

30人の壁にぶつかる経営者の多くが「自分のマネジメントが悪かったのではないか」と自省します。しかし、この壁は「誰かのミス」ではなく、組織が成長したがゆえに生まれる構造的な問題です。10人の組織と30人の組織は、同じルールでは動かない。それは「経営者の能力」の問題ではなく、「組織ステージの違い」の問題なのです。大切なのは、壁にぶつかったときに「なぜ、この壁が生まれたのか」という構造を正しく理解し、適切な打ち手を講じることです。成長期の「カオス」を正面から受け止め、仕組みと文化を再設計する。その先にこそ、次のステージへの扉が開いています。

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2026/7/30
弊社代表が日本経営協会セミナーに登壇します。
管理職へのチャレンジを後押し!
~管理職なり手不足の打開策~

2026/6/22 
営業力×生成AI研修カリキュラム追加しました。

2026/6/8
セルフ・キャリアドック支援サービスを追加しました。

2026/4/7
管理職研修に関するお役立ち情報を追加しました。

2026/3/23
共創的成長をめざす、弊社コンセプト動画を掲載しました。

2025/12/03
「成果を出すだけではリーダーとは言えない」人を動かす力を備えたPM型リーダー動画学習パッケージのご紹介を追加しました。

株式会社キャリアリーダーシップラボ

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