2026-07-06

管理職の「罰ゲーム化」を変えられるか?

管理職

管理職という役職は「罰ゲーム」

近年、企業において管理職という役職が「罰ゲーム」と揶揄される状況が散見されるようになりました。これは、管理職が負う責任と権限のアンバランス、過大な業務負荷、そしてキャリアパスの不透明さなどが複合的に絡み合った結果として生じています。この「罰ゲーム化」の背景と対策について考えたいと思います。

1. 管理職「罰ゲーム化」の背景

管理職の「罰ゲーム化」は、主に以下の3つの要因が複雑に絡み合って生じていると言われます。

1.1. 過大な業務負荷と責任範囲の拡大
多くの企業において、リストラや効率化の波の中で、管理職の「プレイングマネージャー」化が加速しました。これは、本来は部下の育成や組織全体の戦略立案に注力すべき管理職が、一般社員と同様に実務もこなすことを求められる状況です。

複数の調査結果では日本の管理職の約9割以上がプレイングマネージャーであり、多くの管理職が業務量の増加、特にプレイヤーとしての業務とマネジメント業務の両方をこなすことに困難を感じていますまた、管理職の5割以上が「業務量の増加」という課題を抱え、さらに「働き方改革への対応」「ハラスメントの対応の増加」「コンプライアンスの対応の増加」といった新たな業務も加わり、責任範囲が拡大しています。これにより、本来注力すべき部下育成や戦略立案に十分な時間を割けず、ストレスや疲労の蓄積、さらには転職意向の高さにも繋がっているとされています。

1.2. 権限と責任のミスマッチ
業務負荷の増大と並行して、管理職に与えられる権限が責任に見合っていないという問題も顕在化しています。例えば、部下の評価や配置転換、予算の配分などにおいて、実際には上位層の承認や全社的な方針に縛られ、十分な裁量がないと感じる管理職は少なくありません。ある調査では課長の約4割が「十分な権限を与えられていると思わない」と回答しており、この権限の不足が、管理職のモチベーション低下や業務遂行の困難さに繋がっています。

1.3. キャリアパスの不透明さと魅力の低下
終身雇用制度の崩壊や成果主義の導入により、かつては昇進のゴールと見なされていた管理職が、必ずしも魅力的なキャリアパスではなくなってきています。特に若手社員の間では、「管理職になりたくない」という意識が高まっているという調査結果も出ています。その背景には、前述の業務負荷の高さや権限の少なさに加えて、管理職に昇進しても給与が大幅に増えない、あるいは責任だけが増して見返りが少ないと感じる点が挙げられます。これにより、優秀な人材が管理職を忌避し、結果として管理職の質が低下するという悪循環も生じかねません。

2. 管理職「罰ゲーム化」への対策

2.1. 業務の最適化と権限委譲の推進
まず、管理職の業務負荷を軽減することが急務です。業務の棚卸しと削減: 定期的に管理職の業務内容を棚卸し、不要な業務やルーティンワークを削減します。ITツールの導入による自動化や、専門部署への業務移管も有効です。権限の明確化と委譲: 管理職に与える権限を明確にし、部下育成やチーム運営において最大限の裁量を持たせるようにします。上位層がマイクロマネジメントに陥ることを避け、権限委譲を進めることで、管理職の主体性と責任感を高めることができます。

プレイング業務とマネジメント業務の分離・再定義: 理想はマネジメントに専念できる環境ですが、それが難しい場合は、プレイング業務とマネジメント業務の比率を明確にし、過度なプレイング業務を管理職に課さないように配慮します。ある調査では、高いチーム成果を実現しているプレイングマネージャーは、プレイング業務比率を30%未満に抑えているとされています。

2.2. マネジメントスキルの向上支援とメンタルヘルスケア
管理職が直面する困難を乗り越えるためのスキルとサポートを提供する。
マネジメント研修の強化: 部下育成、ハラスメント対応、コンプライアンス、DX推進など、現代の管理職に求められる多岐にわたるスキルを体系的に学べる研修を充実させます。特に、部下のモチベーション向上や育成に関する悩みを抱える管理職が多いことを踏まえ(リクルートマネジメントソリューションズの調査)、これらの分野に特化した研修が有効です。

コーチング・メンター制度の導入
管理職同士のピアサポートや、経験豊富な上級管理職によるコーチング・メンター制度を導入し、孤立感を解消し、課題解決を支援します。
メンタルヘルスケアの強化
過重労働やストレスによる心身の不調を未然に防ぐため、定期的なストレスチェックやカウンセリングの機会を提供し、必要に応じて専門家への相談を促す体制を整備します。

2.3. 管理職の魅力向上とキャリアパスの再構築
管理職が魅力的なキャリアパスとして認識されるような制度改革が必要です。

報酬体系の見直し
管理職の責任と業務負荷に見合った適正な報酬体系を確立します。成果に応じたインセンティブ制度の導入も検討し、管理職のモチベーション向上に繋げます。

多様なキャリアパスの提示
:管理職以外の専門職やプロジェクトマネージャーなど、多様なキャリアパスを提示することで、必ずしも管理職にならなくても専門性を高められる選択肢を増やします。これにより、個人の志向に合わせたキャリア形成を可能にします。

管理職の役割と価値の再定義と発信
企業は、管理職が組織にとって不可欠な存在であり、その役割が企業の成長にいかに貢献するかを明確に定義し、社内外に積極的に発信していく必要があります。成功事例の共有や、管理職の働きがいを可視化する取り組みも有効です。

管理職の「罰ゲーム化」は、組織の活力を低下させ、企業の成長を阻害する深刻な問題です。その背景には、過大な業務負荷、権限と責任のミスマッチ、そしてキャリアパスの不透明さという複合的な要因が存在します。これらの課題に対して、業務の最適化と権限委譲、マネジメントスキルの向上支援とメンタルヘルスケア、そして管理職の魅力向上とキャリアパスの再構築という多角的な対策を講じることが不可欠です。管理職の現状分析と、それに対応した具体的な施策を継続的に実行することで、管理職が本来の役割を発揮し、組織全体のパフォーマンス向上に貢献できる環境を創り出すことができるでしょう。

2026-07-06

シン・管理職が必要!

管理職

現在の会社で管理職になりたいですか?

なりたくない:49.3%
なりたい:16.9%
どちらともいえない:33.8%

東洋経済の約3000人へのアンケート調査によると、「なりたくない」「どちらともいえない」を含めると約8割が管理職昇進に躊躇しています。

管理職になりたくない理由は?

・仕事が増えるから
・責任が重いから
・プライベートを優先したいから
・昇進に興味がないから
・あまり報酬が増えないから

つまり、仕事や責任が重く、プライベートを犠牲にする割には報酬が見合わないと考えています。かつてのように誰もが管理職をめざすべき姿ではなくなっている中、企業の中核人材である管理職の活力低下は、深刻な企業リスクといえます。

能力≠責任=権限≠報酬になっている

管理職には意思決定、戦略・戦術の策定、業務調整、問題解決など、業務遂行のための「パフォーマンスマネジメント」とチームワーク、主体性や自律性の醸成、モチベーション向上など、人の意識とチームの機能を向上させる「ピープルマネジメント」の2つの能力が求められます。

実務で成果を上げてきた「パフォーマンス」重視で昇格が決まる

チームワークや自律性などのチームの機能を高めることができず、結局すべてを自分が引き受ける管理職になってしまい、一流のプレーヤーだった人が二流の管理職になり、「管理職は大変なことばかり・・・」と愚痴をこぼす。それを聞いた一般社員は「管理職にはなりたくない」と思ってしまいます。

ピープルマネジメント能力を高めることが必要

・ピープルマネジメントを行う上でのポイント
・管理職の役割は会社組織の上下左右を繋ぐ 『連結ピン』 である
・公式・非公式に渡る影響力を元に関係者を目的に向けて動かしていく力。
・組織を通して成果を生み出すために『コト』と『ヒト』を現在視点と未来視点で捉えてマネジメントをしていく
・コミュニケーションに求められるマインドセット
・人は 「何を(What)」 ではなく、「なぜ(Why)」 に動かされる
・人を動かす源泉となる力
・人を動かすスキル
・自分の環境、自分の強みを踏まえたリーダーシップについての『持論』をアップデート
・効果的なフィードバックのポイント
・配慮をもたらす基礎スキル
・信頼と共感を得るためのコミュニケーション
・Win-Winをもたらす考え方

2026-07-06

管理職の降格は是か非か?

管理職

管理職に求められる資質と専門性を活かす複線型キャリアパス

現代の企業経営において、管理職の役割が変化し、多様なキャリアパスが求められるようになる中で、管理職の降格は単なる懲罰ではなく、組織の健全性を保つための重要な人事施策となりつつあります。これは、管理職に求められる資質と、個人の専門性を活かす複線型キャリアパスの導入が密接に関連しています。

管理職の役割の変化

従来の管理職は、部下に指示を出し業務の進捗を管理する「指揮命令型」のリーダーが主流でした。しかし、VUCA時代と呼ばれる不確実性の高い現代においては、従業員の自律性を引き出し、チーム全体の創造性を高める「コーチング型」や「ファシリテーション型」の役割がより重要になっています。

このような役割の変化に伴い、求められるスキルも、単なる業務遂行能力や専門知識だけでなく、対話を通じて部下の潜在能力を引き出すコミュニケーション能力、多様な価値観を尊重し、心理的安全性を確保する能力、そして従業員のワークエンゲージメントを高める能力へとシフトしています。この新しい役割に適応できない管理職は、チームのパフォーマンスを低下させるリスクを抱えることになります。

管理職と専門職の複線型キャリアパス

多くの企業で導入が進む複線型キャリアパスは、従業員が管理職になることだけが昇進ではないという考え方に基づいています。この制度では、マネジメントを担う「管理職コース」と、特定の専門分野を深めていく「専門職コース」の2つのキャリアパスが用意されています。これにより、優れた技術や専門知識を持つ従業員が、マネジメント能力がない、あるいはマネジメントを望まない場合でも、その専門性を高く評価され、組織に貢献し続けることが可能になります。 この複線型キャリアパスの存在は、管理職の降格をよりスムーズにする上で不可欠です。

管理職の降格の必要性

管理職の降格は、以下の理由から組織にとって必要不可欠な選択肢となります。

適材適所の実現:
マネジメント能力に課題がある管理職を、その人の得意な専門分野の専門職に戻すことで、個人のパフォーマンスを最大限に引き出すことができます。これは、本人にとっても組織にとっても「敗北」ではなく、より適した場所で活躍できる機会となります。

組織の活性化と公正な評価:
「一度管理職になったら降格はない」という暗黙の了解は、不適切なマネジメントを行う管理職の温床になりかねません。降格の可能性を設けることで、管理職は常に自身の役割と向き合い、能力開発に努めるよう促されます。これは、組織全体の緊張感と活力を生み出し、実力主義に基づく公正な評価体制を確立します。

キャリアパスの柔軟性:
複線型キャリアパスがあることで、降格はキャリアの終焉ではなく、別の専門性を持つキャリアへの移行として捉えられます。例えば、営業部長としての役割が期待に応えられなかったとしても、その営業経験を活かした「営業コンサルタント」のような専門職として組織に貢献し続ける道が開かれます。

管理職の降格は、管理職の役割の変化に適応できない人材を適切に配置転換し、同時に複線型キャリアパスを通じて個人の専門性を最大限に活かすための戦略的な手段です。これにより、組織は変化に強く、個々の従業員が輝ける健全な文化を築くことができるのです。

2026-07-06

管理職に求められるカレンシーの交換とは?

管理職

カレンシーとは?

カレンシーとは、金銭的な報酬だけでなく、部下のモチベーションや貢献意欲を高めるあらゆる「価値」をことを言います。

カレンシー交換の重要性

管理職と部下の関係は、一方的な指示ではなく、価値の交換によって成り立ちます。部下は自分の時間、スキル、努力といった「貢献」を提供します。その対価として管理職は部下が求める「報酬」を返します。この報酬が、ここで言う「カレンシー」です。
金銭的な報酬だけでなく、以下のような多様なカレンシーを交換することで、部下との信頼関係が深まり、チーム全体のパフォーマンスが向上します。

感謝と承認:
努力や成果を具体的に認め、感謝の言葉を伝える。
成長機会:
新しいプロジェクトへのアサインや、スキルアップのための研修参加を促す。
権限委譲:
裁量権を与え、自律的に仕事を進められるようにする。
フィードバック:
建設的で具体的なフィードバックを通じて、部下の成長をサポートする。
心理的安全性:
安心して意見を言ったり、失敗を共有したりできる環境をつくる

交換を円滑にするためのポイント

部下の「カレンシー」を理解する
部下が何を価値と感じるかは人それぞれです。ある部下は昇進や金銭を重視するかもしれませんし、別の部下はワークライフバランスや仕事のやりがいを優先するかもしれません。個々の部下と定期的に対話することで、彼らが何を求めているのかを正確に把握しましょう。

多様なカレンシーを使い分ける
常に昇給や昇進を約束できるわけではありません。感謝の言葉、ちょっとしたねぎらい、柔軟な働き方など、金銭以外のさまざまなカレンシーを適切に使い分けることが、部下のエンゲージメントを高める鍵となります。

カレンシーの「量」と「質」を調整する
単に報酬を与えるだけでなく、そのタイミングや方法も重要です。例えば、成功体験を共有する場を設けたり、公の場で賞賛したりすることで、カレンシーの価値をさらに高めることができます。

部下とのカレンシーの交換は、単なる管理手法ではなく、強い信頼関係とチームの成功を築くための基盤です。部下が提供する貢献に対して、彼らが本当に価値を感じるカレンシーを返すことで、相互理解が深まり、エンゲージメントの高い組織が形成されます。管理職は、金銭以外の多様なカレンシーを意識的に使いこなし、部下一人ひとりと向き合うことが求められます。

2026-07-06

組織において部下を動かすパワー(影響力)とは?

管理職

組織において部下を動かす「パワー(影響力)」

組織において部下を動かす「パワー(影響力)」は、リーダーシップの発揮と目標達成に不可欠な要素です。パワーとは、他者の行動や態度を望む方向に変える潜在的な能力を指します。

このパワーを体系的に分類したものとして、社会心理学者のJ.R.P.フレンチとB.H.レーベンによる「パワーの源泉」が広く知られています。彼らはパワーを大きく分けて、組織の地位に基づくもの(ポジション・パワー)と、個人の特性に基づくもの(パーソナル・パワー)に分類しました。

組織におけるパワーの主な源泉

分類 パワーの源泉 具体例
ポジション・パワー 強制的パワー 罰則や懲罰を与える能力(例:降格、減給、懲戒)。部下にストレスを与えやすく、長期的な影響力は低い。
  報酬的パワー 報酬を与える能力(例:昇給、ボーナス、昇進、承認)。外発的な動機づけとなる。
  合法的パワー 組織内の正式な地位や役職に基づく権限(例:上司が部下に業務命令を下す)。
パーソナル・パワー 専門的パワー 特定の分野における専門知識、スキル、経験に基づく影響力。信頼と尊敬を生む。
  同一視パワー 部下がリーダーに憧れ、魅力を感じ、同一化したいと思うことによる影響力(カリスマ性、人間的魅力)。自発的な行動を促す。
  情報的パワー 他者が欲する重要な情報や知識を持っていることによる影響力(フレンチとレーベンの原典にはないが、後の研究で追加されることが多い)。

現代の組織におけるパワーの活用方法

従来の組織では「強制的パワー」や「合法的パワー」といったポジション・パワー(ハードパワー)に依存し、上意下達で部下を動かすことが主流でした。しかし、現代の多様化し複雑化した組織においては、このアプローチだけでは限界があります。

リモートワークの普及や、自律性が重視される現代の組織では、部下の内発的な動機づけを引き出し、自発的な行動を促すパーソナル・パワー(ソフトパワー)の戦略的な活用が重要になります。

特に活用すべき具体的なパワーの使い方は以下の通りです。

(1) 専門的パワーとコーチングの融合
単に指示を出すのではなく、リーダー自身の専門知識を活用して指導・助言を行います。その際、一方的に教えるのではなく、コーチング型の対話を通じて部下自身に気づきと成長の機会を与えます。

(2) 同一視パワーと信頼関係の構築
部下をひとりの人間として傾聴し、誠実な関心を寄せ、公平に接することで、人間的な信頼関係(同一視パワー)を築きます。リーダーが模範を示し尊敬される存在となることが不可欠です。

(3) 報酬的パワーの「内発的」活用
金銭的な報酬(外発的報酬)だけでなく、仕事の目的意識の共有や、達成感の提供、適切な承認と称賛(内発的報酬)を重視します。可能な範囲で仕事の進め方を任せるエンパワーメントも、自律性への報酬となります。 部下の「この仕事は意義がある」「自分は重要だ」という重要感や自己効力感を高め、持続的なモチベーションを維持させます。

現代のリーダーは、形式的な地位(合法的パワー)だけでなく、個人の専門性と人間的魅力(信頼関係)といったソフトパワーを巧みに使い分ける必要があります。これにより、部下は「やらされている」ではなく「自らやりたい」という動機づけで動き、組織全体の生産性と創造性が向上します。

2026-07-06

管理職を立候補制にするポイント

管理職

管理職立候補制を機能させる「3つの設計要件」

① 選抜基準と評価プロセスの透明化
立候補制を導入しても、選考の中身がブラックボックスであれば、制度の信頼性は失われます。企業は「管理職に求めるコンピテンシー」「評価方法(360度フィードバック、アセスメント、実績など)」「選考フロー」を事前に明示し、不採用の場合もフィードバックを行う仕組みが不可欠です。

② 「管理職=昇格」という固定観念からの脱却
そもそも昇格という概念そのものを見直す必要があります。管理職になる=昇格(上がる)という考え方が諸悪の根源かもしれません。管理職という職務も含めて、全ての職務が並列であるという思想のもとで制度設計を抜本的に見直すことも必要になるでしょう。

③ 管理職の負荷と権限の再設計
現在、管理職問題に取り組み始めた企業で主に先行しているのは、ワーク・シェアリング・アプローチとネットワーク・アプローチの2つです。人事評価やキャリア面談を専門人材に任せたり、メンバーのキャリア育成をベテランに任せたり、管理職同士のピア・コミュニティを形成したりする動きが多くの企業で見られます

立候補制だけ導入して、管理職の仕事量や責任の重さが変わらなければ、やがて立候補者も減っていきます。「なりたい」と思えるだけの権限と働きがいを管理職に持たせることが、制度の持続性に必要です。

エンゲージメントと「選ぶ組織」への転換

日本の従業員エンゲージメント率はわずか7%で、世界で最も低い水準にあります。この数字は、組織への帰属意識や仕事への主体性が、いかに薄れているかを示しています。

エンゲージメントを高めるうえで最も重要なのは、「自分がここで働くことを選んでいる」という感覚です。管理職の立候補制は、まさにその感覚を組織内に生み出すための仕掛けになり得ます。個人が「やらされる仕事」から「選んで担う仕事」へ移行するとき、そこに本物の主体性とエネルギーが生まれます。

現代の管理職の役割は指示・命令ではなく、専門性を持つメンバーが自ら動いて活躍しやすい場づくりやツールの提供、人の仲介やモチベーションの維持などが求められます。このような「遠心力型マネジメント」を担えるリーダーを育てるためにも、立候補という自発的プロセスも必要です。

管理職の立候補制は、単なる人事制度の改革ではなく、「組織が個人のキャリアを一方的に決める時代」から、「個人と組織が対話しながら役割を共につくる時代」への移行を示す象徴的な変化です。

制度の導入で終わらず、選抜の公正さ、管理職の働きがい、多様なキャリアパスの整備、そしてキャリア対話の文化醸成を同時に進めてこそ、立候補制は組織に真の活力をもたらします。
これからの企業に求められるのは、「社員を管理する組織」ではなく、「社員に選ばれ続ける組織」へと変革し続けることではないでしょうか。

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2026/7/14 
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