2026-07-06

管理職を立候補制にするポイント

管理職

管理職立候補制を機能させる「3つの設計要件」

① 選抜基準と評価プロセスの透明化
立候補制を導入しても、選考の中身がブラックボックスであれば、制度の信頼性は失われます。企業は「管理職に求めるコンピテンシー」「評価方法(360度フィードバック、アセスメント、実績など)」「選考フロー」を事前に明示し、不採用の場合もフィードバックを行う仕組みが不可欠です。

② 「管理職=昇格」という固定観念からの脱却
そもそも昇格という概念そのものを見直す必要があります。管理職になる=昇格(上がる)という考え方が諸悪の根源かもしれません。管理職という職務も含めて、全ての職務が並列であるという思想のもとで制度設計を抜本的に見直すことも必要になるでしょう。

③ 管理職の負荷と権限の再設計
現在、管理職問題に取り組み始めた企業で主に先行しているのは、ワーク・シェアリング・アプローチとネットワーク・アプローチの2つです。人事評価やキャリア面談を専門人材に任せたり、メンバーのキャリア育成をベテランに任せたり、管理職同士のピア・コミュニティを形成したりする動きが多くの企業で見られます

立候補制だけ導入して、管理職の仕事量や責任の重さが変わらなければ、やがて立候補者も減っていきます。「なりたい」と思えるだけの権限と働きがいを管理職に持たせることが、制度の持続性に必要です。

エンゲージメントと「選ぶ組織」への転換

日本の従業員エンゲージメント率はわずか7%で、世界で最も低い水準にあります。この数字は、組織への帰属意識や仕事への主体性が、いかに薄れているかを示しています。

エンゲージメントを高めるうえで最も重要なのは、「自分がここで働くことを選んでいる」という感覚です。管理職の立候補制は、まさにその感覚を組織内に生み出すための仕掛けになり得ます。個人が「やらされる仕事」から「選んで担う仕事」へ移行するとき、そこに本物の主体性とエネルギーが生まれます。

現代の管理職の役割は指示・命令ではなく、専門性を持つメンバーが自ら動いて活躍しやすい場づくりやツールの提供、人の仲介やモチベーションの維持などが求められます。このような「遠心力型マネジメント」を担えるリーダーを育てるためにも、立候補という自発的プロセスも必要です。

管理職の立候補制は、単なる人事制度の改革ではなく、「組織が個人のキャリアを一方的に決める時代」から、「個人と組織が対話しながら役割を共につくる時代」への移行を示す象徴的な変化です。

制度の導入で終わらず、選抜の公正さ、管理職の働きがい、多様なキャリアパスの整備、そしてキャリア対話の文化醸成を同時に進めてこそ、立候補制は組織に真の活力をもたらします。
これからの企業に求められるのは、「社員を管理する組織」ではなく、「社員に選ばれ続ける組織」へと変革し続けることではないでしょうか。

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