2026-07-07

褒め方を間違えると人は育たない

褒め方

「褒めて育てる」の落とし穴

「褒めて育てる」という言葉が広まり、多くの職場でポジティブフィードバックが奨励されるようになりました。しかし、褒め方を誤ると、むしろ部下の成長を妨げてしまうことが研究から明らかになっています。

スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック博士が提唱した「成長マインドセット(Growth Mindset)」の研究では、褒める「対象」によって、その後の行動変容が大きく変わることが示されています。

「才能を褒める」vs「プロセスを褒める」

ドゥエック博士の実験では、子どもたちを「頭がいいね(才能の称賛)」と褒めたグループと、「よく頑張ったね(努力・プロセスの称賛)」と褒めたグループで、その後の行動に顕著な差が生まれました。才能を褒められた子どもは、失敗を恐れて難しい課題を避けるようになった。プロセスを褒められた子どもは、困難な課題にも積極的に挑戦しました。

この知見は職場にも直接応用できます。「さすがだね」「センスがあるね」という才能への称賛は、短期的には気持ちよく聞こえますが、「失敗したらどう思われるか」という不安を生み出します。一方、「あの場面での粘り強さが結果につながったね」というプロセスへの称賛は、挑戦意欲と再現性のある成長を引き出します。

効果的なポジティブフィードバックの3原則

①具体性:「ありがとう」「よかったよ」だけでは行動変容につながりません。「あの提案資料、顧客視点で課題を整理した部分が特に響いたよ」のように、何が、なぜよかったのかを具体的に伝えることが重要です。

②タイミング:フィードバックは行動の直後が最も効果的です。週次の1on1まで溜めるのではなく、気づいたその場で伝える習慣が、部下の行動を強化します。

③プロセスへの焦点:結果だけでなく、そこに至る思考や取り組み方を具体的に取り上げることで、「再現可能な成長」を促すフィードバックになります。

今日から使えるフィードバックの型

「(具体的な行動)が、(どんな効果・影響をもたらしたか)につながっていたね。特に(プロセスや工夫)の部分が印象的だった」

例:「昨日のミーティングで顧客の懸念を先回りして整理したこと、場の空気が一気にほぐれたよ。あの準備をしっかりやっていたからこそだね」

ポジティブフィードバックは「褒める技術」ではなく、「相手の成長を加速させるコミュニケーション技術」です。正しい褒め方を身につけることが、真の人材育成の出発点となります。

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