集団心理をさけ組織をワークさせる

集団浅慮(グループ・シンク)という現象は」ご存知でしょうか?
社会心理学者のアーヴィング・ジャニスが提唱したもので、ビックス湾侵攻、真珠湾攻撃等政治的意思決定の事例を分析し、その分析を通じて集団における意思決定について社会・心理プロセスをモデル化しました。1986年1月28日、アメリカ航空宇宙局(NASA)のスペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故においても集団浅慮が発生したと考えられています。集団浅慮は以下のような状況により発生しました。
全会一致の錯覚: 上層部は、打ち上げ延期に強く反対する姿勢を示唆していました。そのため、会議の参加者は異議を唱えることを躊躇し、表面上は全員が打ち上げに賛成しているかのような雰囲気が醸成されました。
反対意見の抑圧: 技術者の中には、Oリングの危険性を強く訴える者もいましたが、上層部や同僚からの暗黙の圧力により、最終的には意見を引っ込めてしまいました。彼らの懸念は、意思決定プロセスにおいて十分に考慮されませんでした。
自己検閲: 懸念を抱く技術者自身も、「長年のNASAの経験豊富な専門家たちが判断したのだから大丈夫だろう」と考え、自身の不安を過小評価する傾向がありました。
外部からの情報遮断: Oリングの危険性に関する過去のデータや技術的な分析結果が、意思決定に関わる全員に十分に共有されませんでした。
ストレス下での意思決定: 打ち上げのスケジュールに対する強いプレッシャーがあり、関係者は冷静かつ客観的な判断を下しにくい状況にありました。
倫理的ジレンマの無視: 安全性よりもスケジュール遵守を優先するような組織文化が、倫理的な問題を軽視する傾向を生み出しました。
私たちの身近な組織でも集団浅慮が発生し、間違った意思決定を行ってしまう可能性があります。組織として集団浅慮を発生させない取り組みが必要になります。