2026-07-07

なぜ、日本を代表する会社の企業価値は低いのか?

企業価値

日本企業の時価総額が低いとされる主な理由

日本を代表する企業の中には、世界的に見ても知名度やブランド力、技術力において優れた企業が多数存在します。しかし、時価総額という観点から見ると、アメリカや中国の巨大テック企業(GAFAMなど)に比べて見劣りする傾向があります。この背景には、以下のような複合的な要因が考えられます。

財務戦略と資本効率の低さ
成長戦略とイノベーションの停滞
DX(デジタルトランスフォーメーション)の遅れ
コーポレートガバナンスと株主重視の意識

これらの課題は、過去の成功体験や安定志向、独特の企業文化といった日本企業が長年培ってきた特性と深く結びついています。しかし、近年では、東証によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業への改善要請など、コーポレートガバナンス改革の動きが活発化しており、日本企業の企業価値向上に向けた意識改革が徐々に進みつつあります。

無形資産と有形資産の価値の違い

有形資産とは機械設備等で、無形資産とはノウハウ、データ、ブランド、知財、研究開発、人材をさします。これまでは投資と言えば有形資産でしたが、今後は無形資産が価値を生み出す時代となり、それを生みだすのは全て 「人(人的資本)」であると言えます。

日本企業の時価総額の低さについて触れましたが、その一因に時価総額における無形資産の価値の低さがあげられます。米国企業では無形資産の価値が時価総額の90%ですが、日本企業は約30%と低くなっています。

人的資本経営と価値創造

人的資本経営とは人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方であり、今後ますます人的資本経営が必要になってきています。

人的資本経営を実践していく上での課題

従業員のスキル・能力の情報把握とデータ化:54.5%
従業員の学び直し・スキルのアップデートへの投資:39.3%
次世代経営人材の育成:34.5%
経営陣の意識改革やコミットメント:31.6%
組織文化の変革:30.6%
ミドルマネジメント・管理職の強化:30.2%
経営戦略に基づいた人材戦略の実行:28.5%
人事部の機能・役割の見直し:24.9%
ダイバーシティ&インクルージョンの推進:20.6%
人的資本経営と人材マネジメントに関する人事担当者調査:3,007名へのアンケート調査より

資源とみなせば管理する誘惑と必要性に駆られる
資源とみなせば人材への支出はコストとして処理したくなる
資本は適切な環境を整備・提供すると 価値の創造・増殖が起こる
資本は価値が伸び縮みする

人は価値を生み出す存在であり、価値を生み出すにはその源泉である、人のスキル・能力を図り、育て、活用していくことが今後ますます必要になり、それが企業の成長や価値に直結していくと言えます。

中小企業が取り組むべき人的資本経営とは?

人的資本経営

人的資本経営とは?

人的資本経営は、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、企業価値向上につなげる経営のあり方です。

ヒューマンリソースマネジメント(HRM)とヒューマンキャピタルマネジメント(HCM)の違いとは?

項目 HRM HCM
人材の捉え方 人材はコスト(消費する資源) 人材は資本(価値を生み出す源泉)
目的 採用・配置・評価・労務管理 経営戦略と連動した人材戦略・人材価値の最大化
視点 過去から現在にかけての管理 中長期的な未来志向

中小企業が行うべき人的資本経営施策

中小企業が人的資本経営を実践する上で、大規模な投資や複雑な制度設計は必ずしも必要ありません。既存のリソースを活かしながら効果的に取り組めることがあります

1.経営理念の言語化と共有の徹底
自社が目指す姿、大切にする価値観を明確にし「理念ハンドブック」などで言語化して全従業員と共有します。これにより、従業員のエンゲージメント(企業への愛着や貢献意欲)を高め、組織との一体感を生み出します。

2.人材戦略と経営戦略の連動
「会社のゴールを達成するために、どのような人材が必要か、その人材をどう育成・配置するか」という視点で人事施策を考えます。例えば、新しい技術を導入する経営戦略があれば、関連するスキル習得のための研修(学習環境の提供)を戦略的に行います。

3.従業員の能力・スキルの可視化
従業員一人ひとりの知識、スキル、経験を把握し、データとして可視化します。これを通じて、個人の能力が活かせる適切な人材配置や、不足している能力を補うための育成計画を立てます。

4.コミュニケーションの促進とエンゲージメント向上
雑談が生まれる環境づくりとして、自然と人が集まる場を提供することで、部門を超えたカジュアルなコミュニケーションを促進します。また働きがい・やりがいの醸成として、従業員が「この仕事は面白い」「この会社が好き」と感じられるよう、仕事の意義を伝えたり、裁量権を与えたりする仕組みを作ります。

5.公正な評価と賃金の適正化
従業員が「給与がしっかり払われている」と納得できる、適正な水準の賃金制度と、成果や貢献を正当に評価する仕組みを構築します。これは、優秀な人材の定着に直結します。

人的資本経営により、企業は人材に投資し従業員のスキルや能力が向上し、企業への信頼や愛着(エンゲージメント)が高まります。その結果、従業員が「自律的・主体的に」仕事に取り組むようになり、組織全体の生産性が飛躍的に向上します。この好循環を回すことが重要です。

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