管理職にとっての人事評価制度のポイント

管理職向けのマネジメントや人事評価についてのご相談が多くあります。改めてその問題点とポイントについてまとめました。

■目標設定~評価における問題点
①トップダウンによる一方的な目標設定:

従業員の意見が反映されにくく、モチベーション低下や目標へのコミットメント不足を招きやすい。

②曖昧で定量化されていない目標:
評価基準が不明確になり、評価者の主観が入り込みやすい。また、進捗管理も困難になる。

③事業戦略との連携不足
: 個人の目標が企業の全体戦略と結びついておらず、組織全体の成果に貢献しにくい。

④目標設定スキルの不足:
管理職が効果的な目標設定の方法を十分に理解していない場合がある。

 ■管理職が実施すべきポイント:双方向のコミュニケーションによる目標設定:
①従業員一人ひとりと丁寧に面談し、個々の能力やキャリアビジョンを考慮した上で、共に目標を設定します。
②目標設定の意図や背景を丁寧に説明し、従業員の納得感を醸成します
③従業員からの意見や提案を積極的に取り入れ、主体的な目標設定を促します。
④SMART原則に基づいた目標設定:
Specific(具体的): 目標内容を明確にし、誰が、何を、いつ、どこで、どのように行うのかを具体的に定義します。
Measurable(測定可能): 目標達成度を客観的に判断できる指標を設定します(数値、頻度、達成率など)。
Achievable(達成可能): 現状の能力や資源を考慮し、無理のない範囲で達成可能な目標を設定します。ただし、適度なストレッチ目標も有効です。
Relevant(関連性): 個人の目標が、チームや部門、そして企業の目標とどのように関連しているかを明確にします。
Time-bound(期限付き): いつまでに目標を達成するのか、明確な期限を設定します。

■事業戦略との連動性の確保:
①経営層から事業戦略や重点課題を共有し、それに基づいた部門目標、そして個人の目標へと落とし込みます。
②個人の目標が組織全体の目標達成にどのように貢献するのかを明確に伝えます。

■目標設定に関する研修の実施:
管理職向けに、効果的な目標設定の手法やコミュニケーションスキルに関する研修を実施し、スキル向上を図ります。

■目標達成に向けたプロセス上の問題点
①進捗状況の把握不足:
日常業務に追われ、従業員の目標達成に向けた進捗状況を十分に把握できていない場合がある。
②フィードバックの不足:
定期的なフィードバックが行われず、従業員が自身の課題や改善点に気づきにくい。
③サポート体制の不備:
目標達成が困難な従業員に対する適切なサポートや指導が不足している。
④柔軟性の欠如:
環境変化や状況の変化に対応した目標の見直しが適切に行われない。

■管理職が実施すべきポイント:
①定期的な進捗確認と対話
:
週に一度、または月に一度など、定期的に従業員と面談し、目標達成に向けた進捗状況や課題について話し合います。進捗が遅れている場合は、その原因を共に分析し、改善策を検討します。

②タイムリーかつ具体的なフィードバック:
良い点や改善点があれば、具体的な事例を交えながら、その都度フィードバックを行います。一方的な評価ではなく、従業員の成長を促す建設的なフィードバックを心がけます。

③適切なサポートと指導:
目標達成に必要な情報、知識、スキル、資源などを積極的に提供します。必要に応じて、OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)やメンター制度などを活用し、従業員の成長を支援します。

④状況に応じた目標の見直し:
事業環境の変化や従業員の状況の変化に合わせて、柔軟に目標を見直す機会を設けます。目標の見直しを行う際は、従業員と十分に話し合い、合意形成を図ります。

■評価段階における問題点
①評価基準の不明確さ:
何をどのように評価するのかが曖昧で、評価者の主観や印象に左右されやすい。
②評価者の評価スキル不足:
評価トレーニングを受けていない管理職が多く、適切な評価ができていない場合がある。
③評価結果のフィードバック不足:
評価結果が十分に伝えられず、従業員が自身の強みや弱みを理解し、成長につなげることが難しい。④評価結果の活用不足:
評価結果が給与や昇進などの処遇に適切に反映されず、従業員のモチベーション低下につながる。
相対評価による不公平感:
従業員間の比較による評価は、一部の従業員に不公平感を与えやすい。

■管理職が実施すべきポイント:
①明確で客観的な評価基準の設定と共有:
目標設定時に設定した評価項目や評価基準を改めて明確にし、全従業員に周知します。
行動評価を取り入れるなど、プロセスも重視した評価を行います。

②評価者トレーニングの実施:
評価者に対して、評価の目的、評価基準、評価方法、フィードバックの方法などに関するトレーニングを実施し、評価スキルの向上を図ります。
③評価者間の評価のばらつきを抑えるための研修も有効です。

④丁寧なフィードバック面談の実施:
評価結果を一方的に伝えるのではなく、具体的な事実に基づいて、良かった点や改善点を丁寧に伝えます。従業員の意見や質問に耳を傾け、双方向のコミュニケーションを心がけます。今後の成長に向けた具体的なアドバイスやキャリア開発の支援を行います。

■評価結果と処遇の連動:
評価結果を給与、賞与、昇進、配置異動などの処遇に適切に反映させることで、評価の納得性を高め、従業員のモチベーション向上につなげます。処遇決定の根拠を明確に説明することも重要です。

■絶対評価の導入検討:
可能な範囲で、従業員個々の目標達成度や能力に基づいて評価する絶対評価の導入を検討します。相対評価を導入する場合でも、その目的や運用方法を十分に説明し、従業員の理解を得ることが重要です。

■プロセス全体を通して
経営層のコミットメント:
人事評価制度の重要性を経営層が理解し、積極的に関与することが成功の鍵となります。

②従業員の理解と協力:
人事評価制度の目的やプロセスを丁寧に説明し、従業員の理解と協力を得るための努力が必要です。

③制度の見直しと改善:
制度導入後も、定期的にその効果を検証し、従業員の意見を聞きながら、より良い制度へと改善していく姿勢が重要です。

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